楽しめた小説でした
ずいぶん前ですが松本清張の「砂の器」を読んだときは、こんな複雑な人間ドラマをよく書けるものだと感心したのを覚えています。久しぶりに同じような感覚を覚える小説を読みました。高野和明の「ジェノサイド」です。
薬学を学ぶ大学院生と作戦を遂行する軍人とが絡み合う物語ですが、薬理学、人類学、軍事、政治など多種の要素が絡み合うので一人の作家の頭の中でこんな物語を作れるだろうか？という疑問が湧きます。でも相当に念入りな取材をしたようで、参考文献の多さに驚きました。反日的な文章が所々に出てくることに嫌悪感を抱く人がいるかもしれませんが、ストーリーの面白さは損なわれないでしょう。ハリウッドが喜びそうなスリルとアクションまで盛り込まれてます。
ちなみに高野和明のデビュー作「13階段」はシンプルな構成ですが、これも面白いミステリーです。
